大判例

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札幌高等裁判所函館支部 昭和24年(ネ)54号 判決

控訴代理人は、原判決を取り消す。被控訴人が昭和二十三年八月三日訴外請求者代表米田米藏の改任請求書に基いて爲した函館市湯の川地区農地委員会の農地調整法第十五條の二第三項第一号の区分から選挙せられた委員の解職決定は無効であることを確認する。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述は、原判決事実摘示と同一であるから、茲に之を引用する。

(各立証省略)

三、理  由

よつて先ず、控訴人等の本訴請求の適否につき考えると、凡そ確認の訴は、現在に於ける権利又は法律関係の存否を確定する爲にのみ提起し得るのであつて、過去に於ける権利又は法律関係の存否は、その影響下にある現在の法律状態の確認を求むるものと認められない限り許されないものと解すべきであるが、控訴人等が本訴に於て主張するところは、被控訴人が昭和二十三年八月三日爲した函館市湯の川地区農地委員会の小作層から選出された委員の解職決定は定足数の同意を欠く解職請求に基いて爲されたものであるから、その無効確認を求めるというにあるけれども、控訴人等が、いずれも、右解職決定が爲された結果行われた昭和二十三年八月十七日の同地区農地委員会の小作層委員の改選に立候補して当選したことは、控訴人等の自認するところで、しかも、右選挙の効力を爭わないことも、その自ら主張するところであるばかりでなく、その後昭和二十四年法律第二百十五号(農地調整法の一部を改正する等法律)による農地調整法の改正規定に伴う経過條項第六條、同年政令第二百二十四号附則に基き、同年八月十八日、同地区農地委員会委員の総選挙が行われたことは当裁判所に顕著な事実でありその総選挙の結果控訴人等が夫々当選したことは当審における証人山本義晴の証言により明かであるから、右解職決定の無効確認を求むる控訴人等の本訴請求は、結局過去に於ける法律関係の確定を求むるに帰し権利保護の必要を論ずるまでもなく、所謂権利保護の資格を欠き不適法のものといわねばならない。

若し控訴人の主張するように、解職決定の無効を原因として損害賠償を請求する必要ありとするならば、須らく現に損害賠償請求権の存在することの確認判決を求むべきで、過去に於て存在した当該解職決定を訴訟物として確認の訴訟を提起することは許されないと解するを正当とする。

尚又解職の濫用を防止するために必要があるならば將來相手方がその挙に出たのに應じて、当該解職決定の無効確認を求め、或は機先を制して自ら進んで解職権の消極的確認を求むれば十分である。殊に農地調整法施行規則第三十二條は解任請求者署名簿には署名(自署に限る)及び捺印を要する旨改正されたので、記名或は代書等は許されず、この点に関する疑義は自ら立法上解決されたため、控訴人主張のような解任権濫用は法規上防止せられ得ることになり、從つてかような事由を以て本訴を維持する理由とすることは出來ないから、いずれの点から見るも本訴請求は失当たるを免れない。

原判決は相当で、本件控訴は理由がないから、棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十五條、第八十九條を適用して、主文の通り判決する。

(裁判官 原和雄 井上正弘 長友文士)

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